人が多すぎる江戸!この時代にも「さらい屋 五葉」という闇バイト!?

江戸を知るためには、『さらい屋 五葉ごよう』がうってつけ!
現代ライフと似ている、電気とガスがない生活は?
毎日風呂に入るなど、下手をすれば、現代より優れた部分もあった。

「さらい屋 五葉」という江戸ライフ

主人公の秋津あきつ政之助まさのすけは、長屋で暮らす。
仕事を選びすぎて、食べる物もないことが当たり前……。

長屋に住みながら日雇い仕事

水彩画のように透明感がある、『さらい屋 五葉』。
秋津政之助が住んでいる長屋には、町人ばかり。

縦と横に仕切った棟割長屋むねわりながやと、縦だけの割長屋わりながやの2つ。
後者のほうが広く、採光や風通しも良いことから、家賃は2倍!
わざわざ高い物件に住んでいることが、政之助の見栄を示す。

「日雇いのぜにで飲み食いしつつ、長屋の家賃を払う」
典型的な江戸ライフで、日当たりの悪い、ジメジメした土地で寝起き。

それぞれの玄関は障子しょうじによる引き戸で、「鍵」という概念はない。
火災で壊しやすいよう、隣との薄い壁に穴が開いている杜撰ずさんさ。
芸事を教える、自分が売り歩く総菜を自炊など、カオスな空間でした。

世界でも有数の人口密度

江戸は、トップの人口密度!
それゆえ、人々を裏の長屋に押し込めて、表通りは店が並ぶ。

三大大火さんだいたいかと呼ばれる、江戸を焼き尽くした悲劇。
その度に、防火を意識した区割りが定められ、火消しの組も活動した。

裏長屋の四畳半にすら、炊飯、煮炊きのかまどがあった!
自炊した惣菜をあつかう棒手振り、米を炊く間は離れられない事情も。
天ぷら、魚を焼くと、火事になりやすい調理は、外で。

公衆浴場の湯屋ゆやへ行き、リフレッシュ。
二階がサロンになっていて、男だけで囲碁将棋を打ったり、知人と談話。
基本的に混浴で、湯女ゆなのようなサービスも。
中盤を過ぎる頃には、彼女たちは別の場所へ移りました。

エンタメと外食が発達した時代

武家は、お上や藩主に与えられた役目に応じて、扶持米ふちまいをもらえる。
けれども、町人は働いた分だけ!

夜明けから、日暮れまで。
真夏の炎天下、極寒の冬だろうが、お構いなし!
働く男に自炊する余裕はなく、仕事帰りに居酒屋か、屋台で食う。

屋台のメニューは、オニギリのような寿司、天ぷら、串揚げ、蕎麦そば
茶屋、居酒屋へ行けば、ご飯と味噌汁みそしる、漬物の定食に、お団子、饅頭まんじゅうも♪

有名な吉原よしわらでは、女とイチャイチャ。
遊女にもランクがあり、立ちんぼの夜鷹よだかなら、そば一杯の値段。
小遣いだけの奉公人、金のない町人が、主な客でした。
そこそこのランクを選んでも、性病リスク。
弥一やいちが住み込みで用心棒をしているのは、遊女がいる遊郭ゆうかく

江戸時代は善悪の境目があいまい

この時代に賄賂わいろという概念はなく、払って当たり前。
義理人情もありましたが、今では犯罪となることも見られた。

地元を捨てた上京者たちの寄せ集め

参勤交代で滞在している大名とサムライ、寺社を除いて、江戸は根無し草ばかり。
地元を捨てた上京者が集まり、せまい長屋に押し込められる。
晴れていれば土方どかたの仕事もあるが、雨が続けば、メシも食えず……。

奇しくも、今のフリーター、日雇い派遣と、よく似ている。

秋津政之助は、見るからに育ちが良い、二刀差し。
浪人は珍しくなく、長屋の住人は追究せず。
藩校はんこうで教育を受けていれば、「寺子屋の先生」という仕事も。
だが、政之助は武士にこだわり、仕事を斡旋あっせんする口利き屋の主人に説教される始末。

イケメンで穏やかなことから、長屋の女に人気があるようで。
彼が目覚めた時に、「また、差し入れする?」と心配する会話が、外から聞こえた。

威張るしかない武家は苦しい生活

秋津政之助は、典型的な武士。
何の因果か、町人たちの長屋に放り込まれ、右往左往。

その政之助を誘ったのが、遊郭で寝泊まりしている弥一こと、イチ。
餌付えづけされて、気づいたら、『さらい屋 五葉』の一味に!?

『さらい屋 五葉』は武家の子供をさらい、身代金をもらったら、解放する。
「体面を気にする武家は恥を隠すから、安全だ!」
イチが笑ったように、史実の武家はひたすらに見栄を張り、苦しい生活。
客を迎える表座敷は立派だが、住居スペースである奥座敷は驚くほどに簡素……。

強情に見える政之助だが、サムライとして失格。
藩主に暇を出された時点で切腹することが、当たり前。
『さらい屋 五葉』は、滑稽こっけいな武家と、それに振り回される町人たちの悲哀。

15%のエリアでひしめく町人たち

江戸は、広大な武家屋敷と、寺社が目立つ。
残りの15%に、町人がいた。
秋津政之助とイチが住んでいるのも、人口過密となったエリア。

四畳半ぐらいの長屋で、他の住人とひしめき合う。
夏は暑く、冬は凍えるほどに寒い。
安物の障子と薄い壁では、何の足しにもならず。
せまいうえ、季節モノは邪魔だから、隣近所との貸し借りやレンタルを利用。

侍は、どれだけ下っ端でも、給料と住む場所をもらえる。
名字と二刀差しを許され、裁くのは主人。
いっぽう、町人はキツい労働をしなければ、屋台の串揚げ1本も食えず。

落語、歌舞伎かぶきのような娯楽で無聊ぶりょうを慰めつつ、江戸ライフは続く。
武家と町人の間でさまよう政之助は、イチにそそのかされて、いよいよ闇バイトへ!?

武家に向いていなかった主人公

秋津政之助は、武家の長男だが、藩主に見放された。
平和だった江戸時代にここまでの仕打ちは、かなり珍しい。

藩主に暇を出された侍

武家は、長男が家督を継ぐ。
主人に仕えているのが侍で、お役目がなくても、給料と屋敷をもらえる。
だからこそ、身内が盛り立てていく。

「同じ武士だから」と、かばい合う。
秋津政之助が口下手、あがり症としても、暇を出されるのは異常。
他藩とのやり取りで上手く答えられず、藩主が恥をかいた?
次男が家督を継いでおり、秋津家を潰すほどの恥ではなかった模様。

注目するべきは、政之助が二刀差しのままで江戸に入ったこと。
武士ではない身分がやったら、重罪。
おそらく、「江戸屋敷へ書簡を届けよ!」と命じられ、藩士として関所を越えた。
彼は嘘をつけないため、通行手形を見せたでしょう。

江戸にある屋敷へ書簡を届けて、通行手形も返納。
いくばくかの暇金いとまきん(今の退職金)を与えられ、町人の身分へ。
差し料は子孫に伝えていくもので、秋津家には手切れ金。
二刀を売れば、まとまった資金になる。
その元手で商売を始めるなり、教養を活かして寺子屋で教えてもいいが……。

「さらいや五葉」としてメシを食う

悪党になった、秋津政之助こと、マサ。
武家の当主からの転落を、まだ受け入れられず。
さりとて、お奉行に告発する勇気もない。

闇バイトに加わったマサは、前科がある仲間と知り合う。
町人もつらい、武家も辛い、お上も辛い。
北町奉行所の八木やぎ平左衛門へいざえもんと知り合う中で、事態は動き続ける。

マサが悪党になった理由は、メシを食いたいから。
それを恥とするなら、藩主に暇を出された時点で切腹した。
江戸で暮らす彼は町人に過ぎず、武家の長男に無縁だった、日雇い仕事だけ。

「長男が家督を継ぐ」というおきては、立場を捨てたマサを追いかける。
ズルズルと共犯になり、それでも腹が空く。
いずれ破滅すると知りつつ、今日も白米と味噌汁、ぬか床で漬けた野菜を食う。

長男のプレッシャーは尋常ではない

『鬼滅の刃』で、竈門かまど炭治郎たんじろうは「次男だったら、耐えられなかった!」という発言。
大正時代においても、長男は家を継ぎ、兄弟姉妹、老いた両親を養っていく。
「炭焼き」という、山奥で暮らす家業でも、例外にあらず。

長男でも、当主が「家の恥になる」と判断すれば、捨扶持すてぶちによる隠遁生活へ。
ののしられた後で、存在しない人間にされるだけ。
『大正処女ヲトメ御伽話おとぎばなし』の志磨しま珠彦たまひこも、次男だったが、名家であることから同じ扱い。

長男に、逃げ場はない。
秋津政之助は異端で、メンツが全ての武家とは思えない、気弱な青年。
剣の腕に優れていても、めったに抜刀しない江戸時代では……。

侍であっても、上司や周りを良い気分にさせることが必須!
『シグルイ』の岩本いわもと虎眼こがんも、政治で柳生やぎゅう宗矩むねのりに敗れた。
『サムライチャンプルー』の刈谷かりや景時かげときも、「剣術に意味はない」と言い捨てた。
あがり症で気が弱いのに「抜刀すれば強い」と自負する政之助は、本当にいびつ。

度し難い封建制度で生きる人々

太平の時代でも、封建制度。
いざトラブルになれば、身分に応じた末路へ!

武家や寺社は特別な身分

町人は、せまいエリアで密集。
「武士は食わねど高楊枝たかようじ」だろうが、働かずに俸禄ほうろくをもらえる武家は特別。
どれだけ下っ端でも、お役目と内職をするだけ。

犯罪の裁きも、町人を扱うのは町奉行所まちぶぎょうしょ
寺や神社などの寺社奉行もあり、サムライの罪は主君がさばく。
言い換えれば、町人は厳罰になっても、武家、寺社であれば、軽いペナルティ。

江戸の公衆浴場は、定期的に混浴禁止。
けれど、吉原ではない遊郭、つまり岡場所おかばしょが見逃されていたように、なあなあ。

マサが稽古をしている「八丁堀の旦那」は、町人と接する与力よりき
警察署長と裁判長を兼ねているぐらいの権限があり、商人も袖の下を欠かさず。
おかげで、武家として下級だが、実入りは大きいという役職。

町奉行所は上から下まで激務

世界トップの人口を誇っていた、江戸。
町人を裁く町奉行は、江戸城へ行きつつ、事件をチェック。
3,000石の旗本で官位もあるが、上と下に挟まれ、人の生死を決めていく。
キャリア官僚に近く、3年ぐらいで異動、過労死も珍しくない。

町奉行の下に、与力がいた。
悪党を描く『さらい屋 五葉』では、マサたちの天敵。
与力の下に同心どうしんがいて、捕縛術に長けている岡っ引きも。
ただし、岡っ引きが奉行所の権威を悪用するケースがよくあった。

拷問によって、疑わしい人を自白させることが日常。
言わば、警察署長と数十人の部下で東京23区を守りつつ、裁判も行う。
事件が多すぎることや、「間違った人を逮捕した」と認められない。

いつ、どこであろうと、誰かがいる。
噂をリサーチしている目明めあかしの働きで、あっという間に逮捕!
それぞれのエリアに顔役がいて、エリアごとに住人を把握できる。

江戸もレールを外れた人間に厳しい

浪人になった秋津政之助は、どこかに仕官すれば、再起できる。
弥一も、遊郭で住み込みの用心棒。
『さらい屋 五葉』という闇バイトを別にすれば、まっとうに生きている町人。

藩から懲戒免職、周りに告知されてのクビであれば、江戸に入れず。
罪人であれば、「ひたいなどに入れ墨」などの刑で、一目瞭然。
世をはかなんでの心中に失敗したら、人として扱われず。
『BLEACH』の京楽隊長の卍解にあった心中物語は、「恋による破滅」への憧れと恐れ。

「厳しいけど、真面目に頑張ろう!」
この合言葉でつらさを呑み込み、たまの娯楽でストレス解消。
それを外れた人への攻撃は、今のネット叩きにも通じる。
「農民が一番下」と言いますが、農村にもランクがあり、同じ村でも地主から小作人まで。

武士らしくない政之助に、不思議な魅力があるイチ、元遊女の「おたけ」。
居酒屋のウメ、飾り職人のマツ。
それぞれに事情を抱えつつ、5人はメシを食う。
いずれ罪を清算する時がやってくると、知りつつも……。

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